未払い残業代を請求したい|必要となる証拠や時効について解説
労働契約を締結している使用者と労働者は相互に労働力の提供と、賃金の支払いを中心とする権利義務関係が生じる法的関係にあります。
労働者は労働力を提供することで、使用者からその対価として賃金を得ることができ、これは労働者の権利である反面、使用者の義務でもあります。
昨今、残業代の未払いが問題視されています。
残業は、法定時間内の所定時間外労働と、法定時間外労働に分けられます。
法定時間内の所定時間外労働とは、労働基準法に定められる、一日8時間、一週間で40時間を超えない労働であるものの、労働契約、就業規則上定められている労働時間を超過する労働をいいます。
このとき、賃金は発生しますが、いわゆる時間外割増賃金ではなく、通常の賃金となります。
これに対して、法定時間外労働は上記の法定される時間を超過する部分の労働をいい、この時間に対応する労働には、時間外割増賃金が発生します。
では、未払いの残業代を請求する際に用意しておく証拠には何が挙げられるでしょうか、また、時効期間についてご紹介します。
必要となる証拠や時効について
・証拠
使用者が任意に残業代を支払ってくれない場合には、下記のような証拠を示して残業代を請求することが考えられます。
また、労働審判や訴訟といった法的手続きを利用する際には、証拠をもとに事実を認定するため、証拠を集めておくことは極めて重要といえます。
①労働時間の記録
勤務時間や残業時間を正確に記録しておくことが重要です。
勤務表やタイムカードなどの記録がある場合は、それらを提出することができます。
自分で勤務時間を記録している場合は、その記録も提出しましょう。
②通知やメールの記録
労働者と雇用者との間で残業についてのやりとりがあった場合は、その通知やメールの記録を提出しましょう。
③仕事内容の証拠
残業時間が発生した理由や仕事内容を明確にすることができる証拠がある場合は、それを提出しましょう。
例えば、プロジェクトの進捗状況を示す報告書や、残業時間についての上司とのやりとりが記録されたメモなどがあげられます。
④証言者の証言
同僚や上司などの証言を得ることもできます。
その場合は、証言者の連絡先を収集し、証言書を提出することが必要です。
・時効
2020年4月1日以前に支払期日が到来する賃金請求権と、それ以降に支払期日が到来する賃金請求権とで、時効期間が異なります。
改正前労働基準法には、「この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によって消滅する」と定められています。
請求権を行使することができる時から2年間で消滅時効が完成します。
改正後は、「この法律による賃金の請求権はこれを行使することができる時から5年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権はこれを行使することができる時から2年間行わない場合においては、時効によって消滅する。」と規定されました。
もっとも、これに対しては段階的措置として、当分の間は「5年間」の部分を「3年間」とされることになっており、当分の間、請求権を行使できるときから3年間で消滅時効が完成します。
労働問題にお困りの方は紫葵法律事務所までご相談ください
昨今問題視されている未払い賃金の請求は、労働者の権利であり、行使されることが正当化されます。
もっとも、時効との関係でいつまでも請求を怠っていると請求ができなくなるだけではなく、証拠が消滅してしまう危険性もあります。
そのため、残業代の支払いがないと思った場合には、任意に交渉をし、それでも支払ってもらえない場合には早期に弁護士に相談することをお勧めします。
紫葵法律事務所では、労働問題についてのご相談を承っております。
お困りの際には、お気軽にご相談ください。
幅広い法律問題を取り扱う当事務所だからこそ、ご相談者様に納得いただけるご提案をいたします。
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